2013/10/5(土) DEVELOPMENTAL/オープントーク「メディア表現の未来を考える」を開催します

プレゼンター:
緒方壽人(takram design engineering

日時:2013年10月5日(土)  14:00-16:00
会場:札幌市立大学サテライトキャンパス[札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル12階 電話 011-218-7500]

参加費無料・どなたでもご参加いただけます。

情報技術が発達し、便利なデバイスを身につけ、デジタルな表現に接することが日常的になりました。こうしたなか、アートやデザイン、製品開発などの領域で、新しい表現やものづくりの方法論に注目があつまっています。デザイナーやエンジニアといったクリエイティブに関わる人は未来に向かってどのような役割を果たすべきでしょうか。

今回、デザインエンジニアの緒方壽人さんをお招きして、これからの表現やものづくりの可能性について一緒に考えます。緒方さんが所属するtakram design enineering(タクラム)は、インタラクティブ・アートからソフトウェア、ハードウェアまで幅広い製品を手掛ける東京のクリエイティブチームです。従来独立していたデザインとエンジニアリングの領域を横断したプロジェクトは、どのようなプロセスで生み出されているのでしょうか。「Habataki」(コニカミノルタ有機EL照明)、「音めがね」デザインあ展)、「ミミクリーズ」(NHK Eテレ)、「ARTSAT」(芸術衛星プロジェクト)など実際の事例をもとに、新しい時代の「ものづくり」や「表現」の考え方や方法論について、参加者のみなさんとともに考えていきたいとおもいます。

緒方壽人(おがた ひさと)
takram design engineeringディレクター/デザインエンジニア。東京大学工学部卒業。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)卒業。リーディング・エッジ・デザイン、オン・ザ・フライ設立等を経て2012年よりtakram参加。ソフトウェアからハードウェア、アートからデザインまで幅広い領域で活動し、「NTT DoCoMo OnQ」でiFデザイン賞、グッドデザイン賞金賞など受賞多数。多摩美術大学非常勤講師。

参考記事
大人が子どもに戻るアート 緒方壽人×五十嵐健夫対談 (CINRA.NET)

プログラム
進行:杉本達應(札幌市立大学)
14:00 開会のあいさつ・趣旨説明
14:20 トーク+ディスカッション「メディア表現の未来を考える」
15:50 まとめ・閉会のあいさつ

主催・お問い合わせ先:
札幌市立大学デザイン学部メディアデザインコース 杉本達應研究室
sugi (at) media.scu.ac.jp
*「DEVELOPMENTAL」は杉本達應研究室の研究プロジェクトです。

Information is Beautiful Awards受賞作にみるデータビジュアライゼーションの秀作

ロンドンのライターでありデザイナーでもあるDavid McCandlessは、さまざまなデータビジュアライゼーションの作品集Information is Beautiful(リンク先はサイト)を出しています。

Information is Beautiful
Information is Beautiful

posted with amazlet at 13.09.02
Collins (2013-02-14)
The Visual Miscellaneum: A Colorful Guide to the World's Most Consequential Trivia
David McCandless
Harper Design
売り上げランキング: 14,129
タイトルが違うのでまぎらわしいのですが、『Visual Miscellaneum』『Information is Beautiful』(イギリス)の米国版です。内容はまったく同じなのでご注意! 日本語版は出ていません。

彼は、市場調査会社カンター(Kantar)とともに、データビジュアライゼーションのコンテストInformation is Beautiful Awardsを主催しています。

このコンテストの2012年度の受賞作にデータビジュアライゼーションの秀作がそろっていますので紹介します。

CNN Home & Away

最優秀賞(Most Beautiful)・データジャーナリズム部門金賞
制作:Stamen

cnn home and away

Home & Awayは、アフガニスタンとイラクで戦死した米国人の死亡場所と出生地をマッピングしたCNNのスペシャルコンテンツです。アフガニスタンでの死者約3600人、イラクでの死者約4800人がマッピングされています。ふたつの戦争にアメリカが払った大きな代償が見えてきます。モノクロームの地図の上に戦死者の顔写真がカラーで浮かび上がります。一人ひとりの名前をクリックすると、出生地や死亡場所、死亡の状況が記載されていて、追悼メッセージを書き込めるようになっています。

Notabilia

インタラクティブビジュアライゼーション部門金賞
制作:Moritz Stefaner, Dario Taraborelli, Giovanni Luca Ciampaglia

Notabiliaは、Wikipediaで削除依頼されたページごとの議論の過程を樹状に可視化したインタラクティブなビジュアライゼーションです。対象のページは、削除するか存続するかの議論が長く続いた100ページ分の議論の流れです。1本の枝が1ページをあらわしていて、枝の長さが議論の長さです。削除か存続かの意見表明によって、枝の色とカーブの向きが変わります。枝のかたちは、賛否が拮抗していると直線状、連続した賛否が交互にあらわれるとS字状、全員一致の場合はらせん状になります。

the deleted
こちらは、削除が決まった100ページ。

the kept
こちらは、削除されずに存続・統合・リダイレクトが決まった100ページ。

制作ツールは、FlashFlareFDT。サイトに掲載されている静的グラフは、Tableauで制作されています。 ビジュアライゼーションの入力元のデータセットは、Google Docsで公開されていて自由に使用することができます。

Information graphics in context

データビジュアライゼーション部門金賞
制作:Peter Ørntoft

Information graphics in context:難民と移民は、宗教的シンボルを身につけていることの是非に焦点をあてたグラフィックです。データはデンマーク人を対象とした調査結果です。テーマとなっている宗教的シンボルの写真と色分けしたデータを組み合わせて見せています。


イスラムのスカーフ


十字架


ヤムルカ(キッパ・ユダヤ帽)

Cover mania

インフォグラフィック/インフォデザイン部門金賞
制作:Michele Mauri

Cover maniaは、年別にカバーされた楽曲のオリジナル・バンドを示した時系列のビジュアルです。リボンの色がオリジナル・バンドをあらわし、幅がその年に発表されたカバー曲の数です。各年のリボンは曲数の多い順に上から並んでいます。全体を通じてもっともカバーされていた緑色のリボンはビートルズ。2位以下は、ボブ・ディラン、クイーン、スティーヴィー・ワンダー、ローリング・ストーンズと続いています。データソースは、サンプリング・カバー曲のデーターベースサイトのWhoSampled

Afghanistan – What is the true cost of war?

モーション・インフォグラフィック部門金賞
制作:Peter Jeffs, Tom Stevenson

Afghanistan – What is the true cost of war?は、イギリスがアフガニスタン戦争に費やしている多額の予算を見せた動画です。モノクロームの色調を背景に、アフガニスタン国旗の赤・黒・緑の3色で構成しています。元政治家で反戦団体Stop the War代表のトニー・ベンの力強いナレーションの後ろに流れている緊張感あふれる音楽は、ブライアン・イーノ。

The Antimap

ツールおよびWebサイト部門金賞
制作:Trent Brooks

Antimapは、データビジュアライゼーションのためのオープンソースのツールです。データを記録するスマートフォンアプリAntimap Logと、データ分析とビジュアライゼーションをおこなう2種のアプリ:WebアプリAntiMap SimpleとデスクトップアプリAntiMap Videoで構成されています。スノーボード、スキー、自転車、ドライブ、ジョギングなどの活動中に位置や方角、スピードなどのログをスマートフォンアプリで記録し、保存されたCSVデータを分析できます。

Antimap SimpleはHTML5/ProcessingJS、AntiMap VideoはopenFrameworksで開発されています。

参考情報

ここで紹介したのは、最優秀賞と各部門の金賞です。すべての受賞作はこちらをご覧ください。なお現在、2013年度のコンテストが作品募集中です。締切は2013年9月13日。なお応募には、エントリーフィーがかかります。

ちなみに、2012年は市場調査会社ニールセン(Nielsen)も、同社提供のデータを素材としたビジュアライゼーションのコンテストを開催していました。