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活版印刷好きにはたまらない、LAのプリンティング・ミュージアム

2018年6月、ロサンゼルスに行きました。LAといえばテーマパークだけでなく、スペースシャトルや往年の自動車が見られるミュージアムなど多くの見どころがありますが、印刷が好きな人ならぜひ行ってみてほしいスポットがあります。

それが、「International Printing Museum」。現地滞在中のHさんと行ってきました。この博物館は、ロサンゼルスの中心部から20kmほど南にカーソンという街にあります。およそ20メートル四方の平屋のガレージで、博物館というよりも私設ギャラリーという風情です。個人の印刷機械コレクションを中心に、1988年に設立されたそうです。

International Printing Museum(国際印刷博物館)
315 W. Torrance Blvd. Carson, CA 90745
土曜日の10時から16時のみ開館。火曜から金曜は事前予約制。

入場料は大人10ドル。ツアー込みで、この日はピーターさんによる熱弁あふれるガイドがはじまりました。印刷の歴史を展示された印刷機械とともに巡っていきます。

まずは印刷の起源である、中国の木版印刷の紹介から。版木のレプリカを手渡しながら、「これが当時のスマホ、タブレットだ」と茶目っ気たっぷりの解説。金属活字は、鉛とアンチモンと錫の合金だと紹介され、その場で溶かした合金を型(活字母型・字母)に流し込んでくれるではありませんか。ちなみに印刷所では、アルファベットの大文字の活字ケースを上段、小文字のそれを下段に置いていたから、大文字をuppercase、小文字をlowercaseと呼ぶんですね。

その場で鋳造してくれた活字。うまく鋳込まれていないのはご愛嬌。

15世紀に考案されたヨハネス・グーテンベルクによる印刷機の復刻版があり、「42行聖書」の版のプレスが実演されました。その後、おもに19世紀から20世紀にかけて改良されていく何種類もの印刷機が展示されています。印刷機の歴史を振り返ると、インクやプレス、紙送りなどの各工程を自動化し、より高速に印刷しようとする工夫がつまっていることがわかります。驚くのは、どの機械もちゃんと動くこと。しっかりメンテナンスされているのが伝わってきます。

グーテンベルクの印刷機で聖書をプレスする

ガイドの最後に、行単位の活字を鋳造するライノタイプのデモンストレーションもやっていただきました。ライノタイプはいろいろな博物館の展示で目にしてきましたが、実際に稼働している様子を見たははじめて。タイプすると、ほとんど待つことなく活字が出てきます。できたての活字はほかほかでした。

ライノタイプで鋳造された活字。じぶんのフルネームをタイプしてもらいました。

毎年秋には、「ロサンゼルス・プリンターズ・フェア」(Los Angeles Printers Fair)というイベントが開催されているようです。全米から、多くのブックアートやファインペーパー、活版印刷機械などの展示が集まるようです。

ところでこの日のツアーは、私たちのほかにもう一組のお客さんと一緒でした。お父さんと小学生の男の子の親子です。ガイドさんが新聞とってますかと訊くと、お父さんは「うちではNew York Timesを読んでいる。うちでTimesといったら、LA TimesじゃなくてNew York Timesのことだよ」と答えていたので、ただ者ではなさそうです。

さて、ライノタイプ鋳造体験のとき、お父さんはタイプする文字を「PES Film」と指定していました(わたしにも見えるように示されていたので、のぞき見ではありません。なので、ブログに書いてもよいと判断しました)。ご自身の名前ではなく、会社名のようです。Filmとあるので映像プロダクションかな、さすがハリウッドのお膝元だなあ。でも、どこかで聞いたことがある気がします。ミュージアムをあとにして検索してみたところ、PES Filmとは、あの独特のストップモーションアニメーションで有名なスタジオでした。彼は、アニメーション作家だったのです。この日いちばんの驚きでした。

2017-11-19 Floating Urban Slime / Sublime クリエイターズ・トーク

広島県のアートギャラリーミヤウチで、 クロスジャンルの展覧会「Floating Urban Slime / Sublime」がはじまりました。

わたしは、ディレクターの稲川豊さんと共同で、オンラインのカウントダウン・プロジェクト「FUSS Countdown」に参加しました。コントリビューターが提供したテキスト、イメージを組み合わせ、会期前の81日間かけて、毎日1つのコラージュ・イメージを投稿しました。日々のイメージは、単体では意味不明。謎めいた展覧会を予告する謎めいたカウントダウンとして制作しています。英語と日本語のテキストの断片があらわれていますが、おそらく多くの人が母語に近いことばだけを読むでしょう。もう一方のことばは対訳なのか、あるいは呼応しあっているのか──。展覧会場では、すべてを通して見れますので、あらたな見方ができるはずです。

#floatingurbanslimesublime #countdown #2days #work #シルバー #sarcasticface #都市のエラー #megumiiwafuchi #マーティントーマス #yutakainagawa #ニコラモリソン

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このカウントダウンのプロセスでは、ことなる種類のテキストを断片化しました。そこではテキスト特有の力をまざまざと感じさせられました。どのような表現方法をとったオリジナルテキストであれ、断片化されてもなお、消すことのできない書き手の痕跡が浮かび上がってきたからです。テキストを切り刻み、つなぎあわせる「カットアップ」という創作手法を世にひろめた、ビート・ジェネレーションの作家ウィリアム・バロウズのことば通りだと再確認します。

 「時」のなかにきみをとどめる言葉の糸を切断せよ……鋏、ナイフを用いて、いくつかにちょんぎれ……「空間」にその糸を展べよ。きみ自身が書いた一頁、手紙であろうと、またきみ以外のどんなやつの書いたものでもいい、死んでいようと生きていようとかまわぬ。一頁、それより少くても多くてもいい、そいつを小間切れにしてしまえ。真中を切断せよ。両端を十字に切り裂け……切断した部分を配列し直せ……出来上ったメッセージを記せ……

どんなに切り刻んで配列し直しても、もとの言葉を書いた人間はそこに存在する……どんなにずたずたにしてもランボオはランボオだし、メルヴィルはメルヴィルである……シェークスピアはシェークスピアの言葉で動く……といった次第で、ランボオの言葉を切り刻み、ランボオの言葉を喋べり、ランボオのように考える人は、誰でもランボオになれるのである……加えて適当に肉をつけることですな。あらゆる死んだ詩人や作家たちは、かくしてそれぞれの宿主のなかに甦る。

(「ウイリアム・バロウズの『殲滅者』」・『鮎川信夫全集IV』思潮社、2001所収)

展示会場は、まるでインストールの最中のようで、渾沌としていました。あたり一面に大小さまざまな角材や板材や布。それらが、床や壁に置かれていたり、宙に浮かんでいたりして、作品の鑑賞をさえぎっているかのようです。いやひょっとすると、これら全部が展示物なのかもしれません。でもそうだとしても、それぞれの物体が作品なのか、什器なのか、仮組みの構造物なのか、判然としません。作品一覧のペーパーは用意されていますが、どうやら複数の作品が絡んで置かれているようで、だれの作品なのか、はっきり見極めることすら困難です。キャプションや解説パネルのようなものは、当然のようにどこにもありません。この展示会場に野心あふれるアーティストが訪れたら、こっそりと自分の作品を紛れ込ませたり、なんらかの痕跡をのこす衝動にかられるかもしれません。

とはいえこの奇妙な会場は、ただ乱雑をきわめているとは言い切れない不思議な一体感を醸し出しています。素材の質感や細部に集中していても、同時に全体の配置や関連も気になります。カメラで撮影するなら、いくつもの種類のレンズを必要とする感じ。面倒なようで意外とたのしくなってきます。歩き回っているうちに、会場は一定のトーンを帯びはじめ、展覧会の性格を強く主張しているようにみえるのです。その主張は、確実な真実を求めてもたどりつきにくい、フェイクニュースあふれるインターネット社会を反映しているのかもしれません。確かなことはわかりませんので、そのあたりは鑑賞者の解釈にゆだねられているのではないでしょうか。

さて、オープニングは体調不良で残念ながら参加できなかったのですが、初日のクリエイターズ・トークに行ってきました。アートギャラリーミヤウチの今井みはるさんに久しぶりに再会しました。

このクリエイターズ・トークに驚かされました。参加作家が自分のことばを語るのかとおもいきや、さにあらず。このイベント自体が実験的パフォーマンスだったのです。

オーディエンスは、会場内の椅子にそれぞれ別々の方向を向いて座っています。Macが読み上げる自動音声のテキスト、参加作家による指示されたテキストの朗読、ハミングの多重奏などが、いくつかのスピーカーから何重にも遅延して耳に届きます。音声の発信地である、ガラス張りのオフィススペースはラジオの公開収録スタジオのようで、オーディエンスによる集団聴取のような不思議な空間ができていました。

#floatingurbanslimesublime #たゆたう粘縮

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今回ふだんの活動とはことなる人たちの創作にふれることができ、おおいな刺激をうけました。

Floating Urban Slime / Sublime
http://miyauchiaf.or.jp/agm/exhibition_fuss.html

会場:アートギャラリーミヤウチ(広島県廿日市市宮内字高通4347番地2)
会期:2017年11月18日|土|- 2018年1月8日 |月・祝|
開館時間:11:00 – 18:00(最終入館は17:30)
会場:2F展示室
休館日:火・水曜日、12月30日−1月3日
観覧料:一般300円 [200円] 学生200円
*[ ]内は10名以上の団体料金、高校生以下または18歳未満・各種障害者手帳をお持ちの方は無料

参加クリエーター(居住国):
稲川豊(日本)|イワフチメグミ(日本)|We+(日本)|ウォン・ピン / 黃炳(香港)|小野環(日本)|勝目祥二(STUDIO NIJI)(日本)|シュシ・スライマン(マレーシア)|ジー・ヤン・ボー / 巫思远(シンガポール)|ジェームス・ブルックス(イギリス)|杉本達應(日本)|ニコラ・モリソン(イギリス)|ヒロコ ナカジマ(香港)|ピーター・ヨウ(アメリカ)|フア・クアン・チェン・サイ / 陈赛华灌(シンガポール)|マーティン・トーマス(イギリス)|松延総司(日本)|三上清仁(日本)|ルーパート・ロイデル(イギリス)|Lens(日本)|山田亮太(日本)

共催:公益財団法人みやうち芸術文化振興財団
助成:NATIONAL ARTS COUNCIL SINGAPORE
協力:Edouard Malingue Gallery、小山登美夫ギャラリー、HAGIWARA PROJECTS

企画発案/ディレクター:稲川豊|企画協力:兼本ひとみ(STUDIO NIJI)
デザイン・ディレクション:STUDIO NIJI
FUSS カウントダウン:杉本達應&稲川豊
メディア・パートナー:Glass Magazine

2017-10-14 Geoアクティビティコンテストでデザイン賞を受賞しました

IMG_2863

2017年10月12日から14日まで、日本科学未来館で開催された「G空間EXPO 2017」Geoアクティビティコンテストに出展しました。

出展したのは、開発中のWebアプリ「DataMapp」(現在公開準備中)です。統計データを地図上にビジュアライズするシンプルなWebアプリです。13日のプレゼンテーション審査で評価いただき、「デザイン賞」を受賞しました。ありがたいことに、公開を期待する声など、多くの反響をいただきました。DataMappにご関心のある方は、杉本までご連絡ください。今後の動きをお知らせいたします。

これまでつながりのないイベントでしたが、人工衛星からドローン、GIS、AR、VRなど、地理空間情報にかんする産官学のさまざまな展示があり、勉強になりました。

展示では多くの地理空間情報業界のみなさんに声をかけていただきました。いただいたご意見やご感想は、つぎのように要約できるとおもいます。地図、とりわけ「主題図」と呼ばれる特定主題を詳細に表現した地図が、分析や意思決定に活用される場面が増えていて、データを効果的に表現するデザインの需要が高まっている。そのため、DataMappのようなデザイン主導の取り組みに期待しているということでした。

メインステージが展示場所にちかかったため、講演プログラムもたのしみました。

このコンテストに出展していたプロジェクトは、最優秀賞を受賞したドローンを利用した水田分析(なんと高校生!)など、いずれもとても面白かったです。わたしがとくに興味をひかれたのは、MIERUNE社の地図配信サービス「MIERUNE地図」です。これはOpenStreetMapをベースにした地図で、スタイルデザインが抜群に美しく、すばらしかったです。このような美しい地図が、Web上の地図の標準になってほしいなと感じました。

関連リンク
G空間EXPO2017|2017年10/12(木)・13(金)・14(土)開催!
【地図ウォッチ】 「Geoアクティビティコンテスト」最優秀賞は、愛媛・伊予農業高校の2年生 – INTERNET Watch

2017-09-23 SMAART講義・ワークショップ「佐賀県の文化芸術情報を伝える」を開催しました

2017年9月23日、佐賀大学附属図書館で、SMAART講義・ワークショップ「佐賀県の文化芸術情報を伝える」を開催しました。

9/23 佐賀県の文化芸術情報を伝える – SMAART Saga Mobile Academy of Art

SMAART[Saga Mobile Academy of Art: サガモバイル・アカデミー・オブ・アート]は、佐賀大学芸術地域デザイン学部が主催するアートマネジメント人材育成事業です。杉本は事務局のメンバーとして参加しています。
SMAART Saga Mobile Academy of Art – 芸術を通した地域創生人材育成~肥前窯業圏のやきものと茶文化をめぐるアートカフェとネットワークづくり

この日は、講義とワークショップを企画し実施しました。

前半の講義では、3名の外部講師の方をお招きしご登壇いただきました。

藤生雄一郎さん(佐賀新聞社)からは、文化面を担当されている立場から、効果的なプレスリリースの発信方法について具体的なアドバイスをいただきました。

田原新司郎さん(Tokyo Art Beat)からは、現代アート情報のポータルサイトの運営の裏側をご紹介いただきました。

倉成英俊さん(電通)からは、佐賀県のプロモーションビデオや、有田焼のプロモーション事業など、多くの企画事例とのその背景にある考え方を紹介していただきました。

講師の所属する業界は、地方新聞社、アート情報サイト、広告代理店と三者三様でした。いずれも文化芸術の情報発信にかかわるテーマでしたが、異なる業種のプロフェッショナルによる講義を連続することで、この分野の状況を多角的に把握することができました。

後半のワークショップでは、牛島清豪さん(ローカルメディアラボ)の進行のもと、佐賀県の文化芸術情報を発信するポータルサイトづくりに向けて、アイディアを出し発表しました。牛島さんは、地域情報化やオープンデータの専門家でもありあすので、今後のポータルサイトづくりでもご協力いただきたいと考えています。

この日は受講生同士の交流を深めることもできました。冒頭に受講生全員の自己紹介の時間を設け、途中にFacebook受講生グループのガイダンスを開催。終了後は受講生、講師、事務局メンバーによる懇親会を開きました。

午前中から夜まで長時間のプログラムにおつきあいただいた受講生のみなさん、講師のみなさん、ありがとうございました。

2017-08-12 ワークショップ「○△□で自分の絵本をつくろう」

2017年8月12日、福岡アジア美術館で開催された「おいでよ!絵本ミュージアム2017」の会期中イベントのひとつとして、ワークショップ「○△□で自分の絵本をつくろう」を実施しました。

90分間のプログラムを2回実施し、それぞれ事前に申し込んだ約15名の4歳から8歳のこどもたちが参加しました。

○△□で自分の絵本をつくろう

このワークショップの内容は、佐賀大学芸術地域デザイン学部の2年生の学生チームと一緒につくりました。絵本ミュージアム会場で展示した「みんなでつくろう天の川」と同じく、まる・さんかく・しかくのスタンプと、オノマトペカードやオノマトペシールを使って絵本をつくります。

ワークショップのながれは以下の通りです。

  • シンプルなかたち、ことばの絵本の紹介
  • 全体共通のお題(オノマトペ)をスタンプを押して表現してみる
  • それぞれのグループでひとり1枚オノマトペカードをひく
  • グループのメンバーがひいたオノマトペのシール(3〜5枚)を絵本のページにはる
  • スタンプでおはなしを表現する
  • おはなし、タイトル、なまえをペンで書く
  • 完成した絵本をみんなに発表する

今回の絵本づくりは、細かい物語がなくてもかまわない、とてもプリミティブな絵本です。ことば、色、かたちからひろがるイメージをふくらませ「おはなし」をつくって発表しあいました。短い時間でしたが、シンプルな条件のなかで、じぶんのオリジナルの絵本をつくるおもしろさを味わってくれたらうれしいです。

オノマトペシールをはっていきます。
DSC00158

スタンプで絵を描きます。
DSC00068

絵本ができたよ

完成記念写真。

第1回
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第2回
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ワークショップ参加者のおうちのかたへ
写真をおわけしますので、お子さまのお名前・年齢、メールアドレスをそえて、sugi2000◎cc.saga-u.ac.jp(◎はアットマーク)までご連絡ください。

学生スタッフ

学生スタッフは、事前のプログラムづくりや準備だけでなく、当日の進行補助、記録を担当してくれました。どうもありがとう。

岩元麻衣花、岡山空知、小林萌、高橋健悟、藤紘和、久山佳音、山林満帆(佐賀大学芸術地域デザイン学部2年生)

IMG_2687

ありがとうございました

このワークショップを開催するにあたり、NPO法人子ども文化コミュニティのみなさんには大変お世話になりました。またワークショップに先立ち、佐賀大学でおこなったプレ実践では、同僚の井川健先生ご家族、土屋貴哉先生ご家族にご協力いただきました。感謝いたします。

ワークショップで紹介した絵本

あおくんときいろちゃん (至光社国際版絵本)
レオ・レオーニ
至光社
売り上げランキング: 28,872
もこもこもこ (ぽっぽライブラリ みるみる絵本)
谷川 俊太郎
文研出版
売り上げランキング: 1,869

「みんなでつくろう天の川」技術メモ

こちらは、「みんなでつくろう天の川」開発の技術メモです。

最初は、できるだけ小さなプロジェクトにするつもりで開発をスタートしました。まずはProcessing、Webサイトでの閲覧も考慮してP5.jsに移行し、さらにスピードが足りずにThree.jsに行き着きました。ハードウェアは、Raspberry Piも検討しましたが、スキャナドライバの安定性からMacを利用。

スピードとWebサイトとの連動を考慮すると徐々に規模が大きくなり、最終的にはNode.js + Expressを中心としたつぎのような構成になりました。学習しながら、増築していったセルフビルド建築のようなものなので、いびつな構成だとおもいます。

今回の開発のおかげで、すこししか触っていなかったNode.jsの理解がすすみました。Nodeには膨大なモジュール群があるので、それらを組み合わせる「ブロック工作」の感覚でWebアプリを開発することができました。

マシン

  1. Mac mini – スキャナドライバ、アップロード
    • Scansnap – スキャナ
  2. MacBook Pro – プロジェクション、Webクライアント
  3. VPS – Webサーバ

マシンは冗長性をもたせています。基本的には1−2−3の3台構成ですが、故障時にそなえて、1、2、1-2、1-3、2-3でも展示可能になっています。

サーバ

  • Python3 + OpenCV3 – 画像認識
  • nginx – Webサーバ
  • Node.js – サーバサイドJavaScript
    • Express – Webアプリケーション・フレームワーク
    • Socket.IO – リアルタイムアプリ・フレームワーク
    • sharp – 画像変換
    • moment – 日付時刻処理
    • pm2 – Nodeの常時起動と監視 (Keymetrics)
  • MongoDB + Mongoose – データベース

フロントエンド

  • JavaScriptライブラリいろいろ
    • three.js
    • stats.js
    • dat-gui
    • tween.js
    • d3.js
    • moment
    • tinycolor
  • Foundation – CSSフレームワーク

ローカルマシン(スキャン用)

  • Node.js – アップロード用アプリ
    • chokidar – フォルダ監視
    • pm2 – アプリの常時起動
  • httpie – APIリクエスト

ローカルマシン(展示用)

  • Electron – 展示専用アプリ開発(マルチプロジェクション、リモート操作のウィンドウ)

https://gyazo.com/ff7eedf22bbec129a20e2be5414091fa

エディタ

  • Atom

バージョン管理(というよりもリポジトリとして)

  • github

「おいでよ!絵本ミュージアム2017」で展示しました

2017年7月から8月にかけて福岡アジア美術館で開催された企画展「おいでよ!絵本ミュージアム2017」で、参加型デジタルコンテンツ「みんなでつくろう天の川」を展示しました。絵本ミュージアムは、福岡の夏休みの恒例行事としてすっかり定着しています。開催10周年を記念した今年のテーマは、「いっしょに」。絵本や展覧会も多くの人びとがかかわって完成しています。仲間と一緒につくりあげる楽しさを伝えたいという気持ちがこめられています。

会場では、絵本の世界が実物大で再現されて展示されています。アーティスト・角孝政さんによる立体造形や、効果的な照明がすばらしかったです。「○△□の森」という幾何学図形をつかった絵本や、真っ暗な部屋の点字絵本コーナーも楽しかったです。「みんなでつくろう天の川」は、展示スペース後半の天吊スクリーンに映し出されています。絵本の世界感を再現した展示ほどの存在感はありませんが、多くの子どもたちが楽しんでくれました。

「みんなでつくろう天の川」のなりたち

「みんなでつくろう天の川」は、絵本ミュージアム・プロデューサーの高宮由美子さんと「絵本ミュージアム」ならではのデジタルコンテンツについて数ヶ月にわたって相談しながら新たに制作したものです。

絵本は、物質としては絵や物語がおさめられた紙の本です。美術品のような美しさがある一方で、大量生産された商品という側面ももちあわせています。とはいえ、この絵本のことを思い出すときには、本という物質の質感だけではなく、ページのデザイン、文字のならび、それを読んだ時代や場所や朗読する声、ページをめくる感覚、思い浮かべる情景などが浮かび上がってきます。つまり絵本は、たくさん流通している複製物でありながらも、きわめて個人的で身体に刻まれた記憶がからみあっている、複合的な媒体だといえるのです。このような絵本をあつかう「絵本ミュージアム」では、なによりも絵本をじっくり読んだり、イメージをふくらませたりすることを大切にしたいと考えました。つまり、絵本を読む落ち着いた空間をこわさないように、いかにもデジタルっぽいギラギラした質感を表に出さないようにする必要がありました。

結果として、まる・さんかく・しかくというシンプルな形状のスタンプとポストカード、リアルタイムに生成するアニメーションを投影するスクリーンで構成しました。参加者は、好きなパターンをスタンプで描き、名前を書いたカードをスキャンします。スキャンしたカードは、円弧状のスクリーンの夜空に浮かびあがり、スタンプの形状が夜空の星となって、天の川ができあがります。背景やときおり登場するキャラクターには、今回の絵本ミュージアムの特集作家である絵本作家たちもとみちこさんの絵をつかっています。

ちなみに、たちもとさんの貴重な原画データを見ることができ、たちもとさんなりの画風や、細やかな作り込みの工夫に大変感動しました。

「みんなでつくろう天の川」でたいせつにしたこと

「みんなでつくろう天の川」でたいせつにしたポイントは以下のとおりです。

  1. 手触り感とともにつくる
    デジタルコンテンツといっても、手で触れるスタンプと紙を使いました。絵本は物語そのものだけでなく、本の表紙やページの手触りも感じます。そうした触感に訴える創作をはじめにやってもらいました。
  2. いっしょにつくる
    展覧会のテーマ「いっしょに」に合わせ、たくさんの参加者が参加して、はじめて夜空に天の川ができるようなものに仕上げました。会場ではたくさんの子どもたちが自由に動いています。自由参加であっても結果的に協同創作に参加できるような工夫をほどこしました。
  3. 控えめな演出
    この展示は、テクノロジーを見せることが目的ではありません。「絵本ミュージアム」の絵本を読むスペースに設置されることから、できるだけ来場者が絵本を読むことに集中できるように、視覚的な演出は最小限におさえました。星のうごきはゆっくりで、背景はさらにゆっくりうごいています。まるで流れ星のように、ときどきキャラクターがあらわれます。スクリーンをぼんやりずっと見ている人だけにおくるささやかなプレゼントです。
  4. 帰宅しても楽しめる
    ポストカードは持ちかえることができます。またスキャンしたカードを特設Webサイトにアーカイブし、会場だけでなく帰宅後にスマホやPCからでも楽しめるようにしました。
  5. いつでも動作している
    展覧会の会期は、32日間無休です。つねに展示がおこなわれていて、システムが落ちないように、使用する道具の耐久性やシステムの堅牢性を保つよう工夫しました。開発したシステムについては、別記事の技術メモに書きとめます。

謝辞

「みんなでつくろう天の川」をつくるさい、次の方がたにとくにお世話になりました。

企画、プロデュースでは、子ども文化コミュニティの高宮由美子さん、藤野惠介さん。西日本新聞社の笠井優さん。NTT西日本グループの上田智子さん、小原由輝子さん、NTTコミュニケーション科学基礎研究所のみなさん。

会場設計・施工などでは、環境デザイン機構の岡大輔さん、アラタデザイン一級建築士事務所の荒田寛さん、ステージクルー・ネットワークの糸山義則さん、ハダ工芸社のみなさん、デザイナーのマツダヒロチカさん。

スタンプ制作では、井川健先生と藤田加奈子さん(佐賀大学)、ワークショップ学生チームのみなさん(佐賀大学芸術地域デザイン学部)、FabLab Sagaの陣内和宏さん、ツキネコのみなさん。ポストカード印刷はプリントパックさん。

会場運営では、子ども文化コミュニティのみなさん、会場スタッフのみなさん。

多くのみなさんの協力で展示が成り立ちました。1回目の絵本ミュージアムでのムービーカード・ワークショップ以来、ふたたび絵本ミュージアムで、こどもたちといっしょに創作体験するることができることができ、とてもうれしくおもっています。このような機会をいただき感謝いたします。

みんなでつくろう天の川

企画・制作:高宮由美子、杉本達應
システム開発:杉本達應
イラストレーション:たちもとみちこ

開催概要

おいでよ!絵本ミュージアム2017
会期:2017年7月20日-8月20日
会場:福岡アジア美術館
主催:福岡アジア美術館、西日本新聞社、TNCテレビ西日本、NPO法人子ども文化コミュニティ
http://www.kodomo-abc.org/ehonmuseum2017/

関連リンク

おもな展示絵本

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2017-07-01 FOSS4G 2017 Hokkaido コアデイで発表しました

2017年7月1日、ACU-A(札幌市)で開催された「FOSS4G 2017 Hokkaido コアデイ」で発表しました。FOSS4Gとは、QGISやPostGISなどオープンソースの地理情報技術群のことを指し、それらの開発者、ユーザのコミュニティのこともあらわしています。

FOSS4G 2017 Hokkaido
http://foss4g.hokkaido.jp/

わたしのスライドはこちらです。昨年つくった「bibliomaps」の開発のプロセスを紹介しました。
杉本達應,2017,「文芸テキストを地図上にビジュアライズする観賞型Webアプリ「bibliomaps」の開発」。

札幌で発表するので、北海道版もつくりました。ツールを再利用できたので効率的につくることができました。

みなさん発表がとてもうまく、どれも興味ぶかくききました。

なかでも、「オープンな公共交通データが作り出す未来」伊藤昌毅さん(東大)が大変おもしろかったので、Code for SagaのFacebookグループでもシェアしました。

公共交通データの世界的なデファクトスタンダードであるGTFS形式をベースにした「標準的なバス情報フォーマット」が今年公開され、全国各地でデータ公開の取り組みが始まっているそうです。地域によって、事業者、行政、市民など作り手はさまざま。

乗り換えアプリでは、路線バスやコミュニティバスがうまく検索できませんが、これからデータ公開が進めば、ずいぶん使い勝手がよくなりそうです。

佐賀も複数のバス会社が乗り入れているので、ぜひ標準フォーマットの公開がすすむといいなとおもいました。Code forで取り組むにもよいテーマかもしれません。

参考になるブログ記事はこちらです。
公共交通オープンデータ 能美市の取り組みとその未来 – niyalistのブログ

2017-04-24 地域デザイン基礎(フィールドワーク)発表

2017年4月24日、「地域デザイン基礎(フィールドワーク)」の発表がありました。これは芸術地域デザイン学部の1年生のコア科目・通称「共通基礎」の課題のひとつです。前期6つの課題を連続してこなしますが、今年度の初回の課題はフィールドワークでした。

基本的には入学後1か月もたたないなか、それぞれしっかりした発表がありよかったです。ただし、どうしても伝えたいことがあったのでメモしておきます。

1.主題を明確に伝える

今回の課題は、「佐賀の魅力が感じられるまちあるきコースの提案」です。主題は、このまちあるきコースのテーマやコンセプト、そしてコース提案の詳細です。発表では、各班が制作したイラストマップの内容を中心に述べれば十分伝わります。

まちあるきには、つぎのような情報が必要不可欠です。距離、所要時間、スタート地点やゴール地点、コースで経由する場所と場所の距離や歩き方のポイント、迷いやすい場所の目印など。

まちあるきに直接関係ないことは、今回の主題ではありません。すなわちプレゼンテーションの工夫(フォント、色、アニメーション、映像、音楽、寸劇、キャラクター、お笑いなどなど…)は、今回は求められていません。プレゼンの工夫はしなくてよい、といってるわけではありません。今回の発表のそれぞれの工夫は、主題を伝えるためにほんとうに必要なのか、よく吟味してほしいのです。どうしても必要なもの以外は、そぎ落とすべきです。

2.発表は臨機応変に

同じテーマで20グループも発表しますから、内容が重複してしまうことは仕方ありません(=事前に想定できます)。まえのグループの発表と同じ内容があれば、原稿を棒読みするのではなく、思いきって省略したり、ほかの追加情報を発表してかまいません。なぜなら聴衆は、まえの発表をすでに聞いているからです。発表するときは、聴衆の気持ちをよく考え、機転をきかせましょう。恵比寿、河童伝説など、一言一句同じ文言を何度も聞かされるのは耐えられません。

発表機材のトラブルなどがあっても、落ち着いて時間内に発表を終わらせるようにしましょう。発表が止まってしまうのは、プレゼン資料に依存しすぎているからです。発表時間はかぎられているのですから、けっして何分も待たせてはいけません。

聴衆がききたいことは、まちあるきの詳細です。笑いたいわけではないので、既存の番組やゲームのパロディ仕立てなど、やみくもに笑いをとる必要はありません。主題からはなれた発表は、たとえその場が盛り上がっても、主題を知りたい聴衆にとってはむしろ邪魔な演出です。

3.他人の創作物をぞんざいに扱わない

発表中、既存の音楽や効果音がたくさん使われていて、たいへん気になりました。音楽は今回の主題ではないので、発表に音楽は必要ないのです。とくに既存の音楽を使うのは、いくつか問題があります。

第一に、著作権的な問題です。参考文献として書籍の情報は明記していましたよね。大学の授業内の発表なので細かいことは問われないとおもいますが、他人の創作物を利用したのなら、せめて同様にクレジット(曲名等)を表記すべきです。

第二に、著作者への敬意の問題です。芸術地域デザイン学部は、表現者、作り手、送り手、美術や文化財の保存にかかわる人を育成する機関です。なによりも私たちがまず、表現する人たちをリスペクトする態度を身につけなければなりません。テレビ番組をみると、クレジット表記なしに自由にBGMや効果音を使っているので、おなじ感覚なのかもしれませんが、他人の音楽を気軽に利用することは厳に慎むべきです。

既存の創作物を切り貼りして何となく見映えのよいものをつくりあげることは、ほんとうのクリエイティブではなく、クリエイティブを殺していることに気がついてほしい。すくなくともわたしは、このような無自覚にクリエイティブの尊厳を毀損している発表演出をまったく評価しません。

以上の指摘は、入学したての1年生には厳しすぎるかもしれません。繰り返しになりますが、入学1か月以内で楽しく発表できていたのはよかったです。これからも頑張ってください。

Linked Open Data チャレンジ Japan 2016 ビジュアライゼーション部門 最優秀賞 受賞

先日発表された「LODチャレンジ2016」(Linked Open Data チャレンジ Japan 2016)のビジュアライゼーション部門で最優秀賞を受賞しました。LODチャレンジは、新たなデータづくり、データ公開、データ共有の仕掛けやオープンデータ活用のアイディア、アプリケーションなどを募集しているイベントです。実行委員会は有志のみなさんの組織です。

2017年3月11日に東京大学で開催された授賞式シンポジウムには、残念ながら参加できませんでしたが、後日たいへん立派な賞状を送っていただきました。「可視化法学」でアイディア部門最優秀賞を受賞された芝尾幸一郎さんはIAMAS時代からの友人でお会いたかったです。

受賞した作品「bibliomaps ビブリオマップ神戸版」は、地名にまつわる文芸作品を地図にマッピングし、地名が登場する前後の文脈を原稿用紙風にビジュアライズした鑑賞型のWebアプリケーションです。文学館の展示のように、作家が生きていた時代や場所、執筆風景を想像できるように工夫しました。昨年開催された神戸市とバルセロナ市の国際連携ワークショップ「WORLD DATA VIZ CHALLENGE 2016」の参加をきっかけに制作したものです。まだ粗削りなので、ブラッシュアップしたいなとおもっています。

賞状に書かれていたコメントをご紹介します。

オープンで良質な日本語のテキストである青空文庫を対象にして、地名を軸に構築したデータを趣のある作品としてまとめている点が素晴らしいです。オープンデータの活用という観点と、強く印象に残るビジュアルという観点の両方において高く評価いたしました。
さらにDBpedia Japaneseなど他のオープンデータと繋いで別の文脈を可視化するなどの発展性も期待できます。