2017-04-24 地域デザイン基礎(フィールドワーク)発表

2017年4月24日、「地域デザイン基礎(フィールドワーク)」の発表がありました。これは芸術地域デザイン学部の1年生のコア科目・通称「共通基礎」の課題のひとつです。前期6つの課題を連続してこなしますが、今年度の初回の課題はフィールドワークでした。

基本的には入学後1か月もたたないなか、それぞれしっかりした発表がありよかったです。ただし、どうしても伝えたいことがあったのでメモしておきます。

1.主題を明確に伝える

今回の課題は、「佐賀の魅力が感じられるまちあるきコースの提案」です。主題は、このまちあるきコースのテーマやコンセプト、そしてコース提案の詳細です。発表では、各班が制作したイラストマップの内容を中心に述べれば十分伝わります。

まちあるきには、つぎのような情報が必要不可欠です。距離、所要時間、スタート地点やゴール地点、コースで経由する場所と場所の距離や歩き方のポイント、迷いやすい場所の目印など。

まちあるきに直接関係ないことは、今回の主題ではありません。すなわちプレゼンテーションの工夫(フォント、色、アニメーション、映像、音楽、寸劇、キャラクター、お笑いなどなど…)は、今回は求められていません。プレゼンの工夫はしなくてよい、といってるわけではありません。今回の発表のそれぞれの工夫は、主題を伝えるためにほんとうに必要なのか、よく吟味してほしいのです。どうしても必要なもの以外は、そぎ落とすべきです。

2.発表は臨機応変に

同じテーマで20グループも発表しますから、内容が重複してしまうことは仕方ありません(=事前に想定できます)。まえのグループの発表と同じ内容があれば、原稿を棒読みするのではなく、思いきって省略したり、ほかの追加情報を発表してかまいません。なぜなら聴衆は、まえの発表をすでに聞いているからです。発表するときは、聴衆の気持ちをよく考え、機転をきかせましょう。恵比寿、河童伝説など、一言一句同じ文言を何度も聞かされるのは耐えられません。

発表機材のトラブルなどがあっても、落ち着いて時間内に発表を終わらせるようにしましょう。発表が止まってしまうのは、プレゼン資料に依存しすぎているからです。発表時間はかぎられているのですから、けっして何分も待たせてはいけません。

聴衆がききたいことは、まちあるきの詳細です。笑いたいわけではないので、既存の番組やゲームのパロディ仕立てなど、やみくもに笑いをとる必要はありません。主題からはなれた発表は、たとえその場が盛り上がっても、主題を知りたい聴衆にとってはむしろ邪魔な演出です。

3.他人の創作物をぞんざいに扱わない

発表中、既存の音楽や効果音がたくさん使われていて、たいへん気になりました。音楽は今回の主題ではないので、発表に音楽は必要ないのです。とくに既存の音楽を使うのは、いくつか問題があります。

第一に、著作権的な問題です。参考文献として書籍の情報は明記していましたよね。大学の授業内の発表なので細かいことは問われないとおもいますが、他人の創作物を利用したのなら、せめて同様にクレジット(曲名等)を表記すべきです。

第二に、著作者への敬意の問題です。芸術地域デザイン学部は、表現者、作り手、送り手、美術や文化財の保存にかかわる人を育成する機関です。なによりも私たちがまず、表現する人たちをリスペクトする態度を身につけなければなりません。テレビ番組をみると、クレジット表記なしに自由にBGMや効果音を使っているので、おなじ感覚なのかもしれませんが、他人の音楽を気軽に利用することは厳に慎むべきです。

既存の創作物を切り貼りして何となく見映えのよいものをつくりあげることは、ほんとうのクリエイティブではなく、クリエイティブを殺していることに気がついてほしい。すくなくともわたしは、このような無自覚にクリエイティブの尊厳を毀損している発表演出をまったく評価しません。

以上の指摘は、入学したての1年生には厳しすぎるかもしれません。繰り返しになりますが、入学1か月以内で楽しく発表できていたのはよかったです。これからも頑張ってください。

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