Kirk, Andy,黒川利明訳,2021,『データビジュアライゼーション ―データ駆動型デザインガイド―』朝倉書店.

版元の朝倉書店からご恵投いただきました。

『データビジュアライゼーション』は、Andy KirkのData Visualization第2版の邦訳です。本書は、特定のツールに依存せず、データ可視化における技術やプロセスに重点を置いています。約270ページ、フルカラーです。
https://www.asakura.co.jp/books/isbn/978-4-254-10293-2/

Andy Kirkはイギリスのデータ可視化の実務家でトレーナーです。彼のサイトは、データ可視化プロジェクトの好事例を定期的に紹介していて参考になります。
https://www.visualisingdata.com/

以前、彼のブログ投稿を翻訳して紹介したことがあります。

2016年前半のビジュアライゼーション10選
https://lab.sugimototatsuo.com/2016/08/10-significant-visualisation-developments-january-june-2016/

本書の特徴を3つとりあげます。

ひとつ目は、多くのチャートを分類したカタログ(第6章)があることです。棒グラフから方眼地図まで49種のチャートを5つのカテゴリで紹介しています。あらゆるチャートを網羅しているわけではありませんが、これを眺めるだけでいろんなアイディアが浮かんできます。

チャートの分類(杉本作成)

ふたつ目は、データ可視化プロジェクトにおける要綱作成、データ処理、編集的思考をまとめていることです(第2部)。この内容は、とくにメディアとしてデータ可視化を公開する方にとって力強い指針となりそうです。

みっつ目は、ページのところどころに、数多くの実務家や研究者の言葉が掲載されているところです。短いテキストなので警句集のように読むこともできるでしょう。人名で検索すると、さらに背景情報を得られます。ひとつだけ紹介しましょう。

「すべてに理由がなければならない」。
グラフィックデザイナーとして私が学んだ原則はデータ可視化にも当てはまります。
本質的に、すべてが合理的に説明され、なぜデザイン/ビジュアライゼーションでそうなっているのか、そうなっていないのかを示すロジックがなければなりません。

Stefanie Posavec

【目次】
日本語版によせて
はじめに
謝辞
著者紹介

第I部 基礎
1章 データ可視化の定義
データ可視化とは何か/相違と特徴/まとめ
2章 可視化デザインプロセス
デザインプロセス/デザイン原則/まとめ

第II部 背後の思考
3章 要綱を作成する
プロジェクトの文脈を定義する/プロジェクトのビジョンを確立する/まとめ
4章 データの処理
データ取得/データ検査/データ変換/データ探索/まとめ
5章 編集的思考の確立
編集的思考とは何か/編集的思考の影響/まとめ

第III部 デザインソリューションの開発
6章 データ表現
ビジュアル・エンコーディングとチャート/影響要因と考慮点/まとめ
7章 インタラクティブ機能
インタラクティブな諸機能/影響要因と考慮点/まとめ
8章 注釈
注釈機能/影響要因と考慮点/まとめ
9章 色
色モデルの概要/色のフィーチャー/影響要因と考慮点/まとめ
10章 構成
構成のフィーチャー/影響要因と考慮点/まとめ

エピローグ
参考文献
訳者あとがき
索引

Kirk, Andy,黒川利明訳,2021,『データビジュアライゼーション ―データ駆動型デザインガイド―』朝倉書店.[ISBN: 9784254102932] https://amzn.to/3eZTaaX