Articles

「ネット時代のフォークロア創造」 モバイルコミュニケーション研究会に参加しました

2021年5月15日、オンラインで開催された情報通信学会モバイルコミュニケーション研究会に討論者として参加しました。貴重な事例報告をきく機会をいただきました。研究会のみなさん、ご縁をいただきありがとうございます。

タグチヒトシさん
杉本

アートグループGRINDER-MANのタグチヒトシさんが演出された現代芸能『獅子と仁人』の報告にコメントを寄せました。『獅子と仁人』は、沖縄の獅子舞、音楽、唄、ダンスパフォーマンスに加え、リアルタイムCGが合成されたライブ映像です。新型コロナウイルス感染拡大によって本来の公演は中止されたものの、ストリーミングライブ配信として新たなかたちでの公演が試みられたとのことです。

本作は、現代的な装いの獅子のパフォーマンスなど、見どころの多い作品です。それだけでなく、舞台上を動き回る大胆なカメラワークでライブ配信する意欲的な試みでもあります。2020年、コロナ禍で次々に舞台公演の場が失われていく大きな制約のなか、表現者が新しい見せ方をつかんでいく過程を見ることができ、勇気づけられました。また、テクノロジーを駆使しながらも誇示しない作品構成のバランス感覚にも唸らされました。とくに再撮影版ではCGの要素を減らしていることに感心しました。

沖縄の獅子舞という伝統文化に、現代的な技術が重なることで、あらたな魅力を獲得していました。コロナ禍で伝統文化の継承が危惧されているなか、このような試みで伝統が生き続けていることに注目します。ライブ配信では海外からのアクセスも多かったそうで、地理的な条件にしばられないグローバルな展開が期待できます。

わたしからはタグチさんに、今後の展開についてお訊ねしました。コロナ禍はいつか終息し、パフォーミングアーツの公演は息を吹き返すでしょう。ただし、長期間これまでの公演形態が制限され、ライブ配信が身近になったという大きな変化を存在しなかったことにはできません。今後は、劇場に足を運ぶ人だけでなく、スクリーン越しの観賞を求める人たちも増えていくのではないでしょうか。そのとき、多くの観客と同時に観賞するという体験がどのように変わるのかに興味を抱きました。その体験をデザインする演出家の果たす役割はより重要になりそうです。

もう一人の討論者の藤本憲一さんと司会の伊藤耕太さんからは、お二人とも本作の世界観や読み取れる物語からつぎのような指摘がありました。藤本さんは、本作から、「脱魔術化」(ウェーバー)した合理的社会ではなく、「再魔術化」した多神教的世界を見出したそうです。伊藤さんは、本作から読み取られる物語から、ベンヤミンが「複製技術時代の芸術作品」で論じた礼拝的価値から展示的価値への移行から、再び礼拝的価値へ回帰しているのが興味深いとおっしゃっていました。

今回の研究会がオフライン開催だったら、研究会メンバーの方々をまじえて議論が盛り上がったはずです。それがかなわなかったことは残念でしたが、つぎに直接お会いできる機会を楽しみに待つことにします。

『獅子と仁人』は、再撮影された映像版がVimeoでオンデマンド配信されています。レンタルまたは購入できますので、関心のある方はぜひご覧ください。

Vimeo配信の予告編

The Ancient Lion and Modern Man – 現代芸能『獅子と仁人』 | Facebook


2021年度 第1回モバイルコミュニケーション研究会のお知らせ

テーマ: ネット時代のフォークロア創造〜リアルアイムCGを用いたAR表現を題材に
日時:2021年5月15日(土) 13:00~15:00
場所:オンライン開催
報告者:タグチヒトシ(演出家)
司会:伊藤耕太(マーケティングディレクター、関西大学非常勤講師)
討論者:藤本憲一(武庫川女子大学教授)・杉本達應(東京都立大学准教授)

概要
報告者であるタグチヒトシ氏がコロナ禍において演出を担当した現代芸能『獅子と仁人』(ししとひと)は、身体表現とデジタルテクノロジーの融合による、オンラインでのみ完成する舞台作品かつ映像作品として公演されました。獅子舞、ダンス、生演奏、CG合成によるAR表現がオンラインでリアルタイムに融合し、沖縄から世界への配信を通じて鑑賞する観客は、舞台上に立っているような臨場感の中で、しかも肉眼で見るのよりもリッチな映像として、作品世界を体感することができます。本研究会では、本作を中心としたタグチ氏の実践と、インターネットやデジタル技術や駆使した映像体験で試みるフォークロア(伝承)創造の可能性について議論したいと思います。

(報告者プロフィール)
タグチヒトシ(演出家)
1973年横浜市出身、筑波大学芸術専門学群総合造形学科卒。演出・振付を駆使して生みだすのは「いま・ここ」の身体表現。2008年に株式会社イッカクを設立。現代という時代を創造し、表現と社会の新たなかかわりあいについて、その考察と実践を進めている。文化庁芸術家海外研修でニューヨークに滞在(2016年)。文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品「HERO HEROINE」(2019年)。
『獅子と仁人』は、沖縄県宜野座の創作エイサーLUCKと、アートグループGRINDER-MAN、ビジュアルデザインスタジオWOWのコラボレーションによって、2020年11月に宜野座村文化センターがらまんホールからストリーミング配信にて発表。2020年12月には文化庁芸術文化収益強化事業に採択され、2021年2月に再収録。2021年4月から新版「The Ancient Lion and Modern Man」がVimeo On Demandにてオンデマンド配信中。
https://www.facebook.com/shishitohito/

参加費: 無料
申込方法: 以下のサイトよりお申込みください。

モバイルコミュニケーション研究会|情報通信学会 -JSICR-

インターネットオーディオ番組「都立大1年生の新しい日常」を公開しました

2020年、新型コロナウイルスの感染がひろがり、多くの大学がオンラインの遠隔授業に移行しました。この春入学した大学1年生は、入学式がなくなり、思い描いていた大学生活を送ることができなくなりました。彼らの気持ちを記録しておきたいとおもい、音声を収録したオーディオ番組を制作しました。

パンデミックの草の根アーカイブ

今回の歴史的なパンデミックは、ろいろな形で記録されています。とくに、政府の対応や感染経路、ワクチン開発、経済への影響といった「大きなニュース」は、後に歴史の一部になっていくでしょう。一方、わたしたちの日常生活もそれなりに変化がありました。ただこうした変化は、人びとの記憶には残りますが、やがて風化してしまいます。今回の企画は、放っておくと消えてしまうかもしれない日常レベルの記録を保存する「草の根アーカイブ」です。

普段と異なる「新しい日常」を余儀なくされた大学1年生という当事者の声を保存することで、ささやかながらも「当時の空気感」を思い起こせるきっかけになればとおもいます。

大学1年生にインタビュー

企画者の杉本は、2020年度前期、東京都立大学1年生向けの全学共通科目「基礎ゼミナール」を担当したおかげで、複数学部の1年生とオンラインで出会うことができました。授業終了後の2020年8月下旬、受講生4人の協力を得てオンラインでインタビューしました。学生には番組の趣旨を説明し出演の了解を得ています。

全2回の音声のみのプログラムです。
第1回の回答者は、システム学部インダストリアルアート学科に入学した2人です。
第2回の回答者は、人文社会学部人文学科、健康福祉学部作業療法学科にそれぞれ入学した2人です。

https://anchor.fm/s/54753f74/podcast/rss

オンライン授業のことや、外出自粛の様子、ソーシャルメディアで大学1年生が呼びかけていることついての思いなどを訊ねました。大学入学の前後から生活が変わり、同級生と直接対面できない状況がつづくなか、心身への影響がすくなからずあったことが、声のトーンで伝わってきます。

ところで、オンライン授業の評価はそれほど悪くありませんでした。ただ大学によっては、評価が低いところもあるようです。大学のオンライン授業への批判や不満は、しばしばニュースで取り上げられていました。一方で、それなりに満足していた学生がいたことも残しておきたい記録です。

編集するのに時間がかかってしまい、公開がたいへん遅れてしまいました。もっと構成を工夫したかったのですが力不足です。この記録をできるだけ長期間のこしておいて、後世の聴き手へとつなげていきたいとおもっています。

最後に、協力していただいた学生のみなさん、ありがとうございました。

インターネットオーディオ番組
都立大1年生の新しい日常(全2回)
第1回 23分43秒
第2回 27分33秒
2020年8月収録/2021年3月公開
企画・制作:杉本達應(東京都立大学システムデザイン学部)

『Code as Creative Medium』にインタビュー掲載

このたびご縁がありまして、書籍『Code as Creative Medium』にインタビューが掲載されました。

本書は、コンピュテーショナル・アート・デザインの「教育」に焦点を当てた本です。(1)研究課題、(2)演習問題、(3)インタビューの3部で構成されています。多彩な作品事例の写真が掲載されていて、眺めて楽しめるだけでなく、この領域で教えている人にとっては膨大なリソースの宝庫になっています。

クリエイティブ・コーディングについて特定の技術や技法を扱う書籍は多数出版されています。しかし教育方法に絞った本は初めてではないでしょうか。こうしたコンセプトの本が登場したのは、世界中のアート・デザイン教育の現場で、コンピュテーショナルな演習やカリキュラムが一般化したことを反映しているのでしょう。多くのノウハウを共有することで、この分野の指導者を応援してくれます。本書の著者2人とコントリビューター16人は、著名なアーティストばかり。Golan Levin, Tega Brain, Taeyoon Choi, Zachary Lieberman, Lauren Lee McCarthy, Alison Parrish, Casey Reas, Daniel Shiffman, Jer Thorpなど……。そのなかにわたしも入っているのは単純に驚きですが、とてもうれしいです。

インタビューの部では、下記のトピックについて多くの人が回答しています。それぞれの回答を見るだけで相当勉強になりそうです。

– アーティストやデザイナーにプログラミングを教えること
– 双峰分布クラス(経験者と初心者が混合しているクラス)
– 視点の促し
– 初日
– お気に入りの課題
– うまくいかなかったとき
– 心に残った反応
– 新人教師へのアドバイス

書誌情報
Golan Levin and Tega Brain, 2021, Code as Creative Medium: A Handbook for Computational Art and Design, MIT Press.
https://mitpress.mit.edu/books/code-creative-medium

生き方を問われるデザイン書? 上平崇仁『コ・デザイン──デザインすることをみんなの手に』

potariに寄稿した記事です)

デザインを語らないデザイン書

『コ・デザイン』は、おしゃれな表紙からは想像もできないほど、筆者の熱い信念のこもった本だ。タイトルには「デザイン」とあるが、デザインの専門用語はほとんど登場しない。だれでも平易に読みすすめることができ、同時に深く考えさせられる良書なので、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。

本書は、色彩や造形といったいわゆるデザインではなく、デザインと周辺の要素とのつながりをふくめた大きな活動を射程にいれている。多くの利害がからみあう社会の複雑で厄介な問題に対して、わたしたちはどのように取り組んだらよいのか。多くの現場に横たわっている問題に、当事者と専門家が「いっしょにデザインする」ことで対応するのが「コ・デザイン(Co-Design)」のコンセプトだ。Coは「ともに」や「協働して行う」を意味する接頭語だ。こうした「デザイナーや専門家といった限られた人々によってデザインするのではなくて、実際の利用者や利害関係者たちがプロジェクトに積極的にかかわっていく取り組みが世界中で活発になって」(p.88)いる。そのコンセプトを幅広い理論や豊富な事例とともにていねいに解説する本書は、しかしたんなる解説書にとどまらない。驚くことに、読んでいるうちに読者はみずからの生き方(生きるうえでの態度・姿勢)を問われてしまうのだ。

著者の上平崇仁は、専修大学ネットワーク情報学部の教授。一般大学でデザインの専門家として奮闘している尊敬する研究者のお一人だ。本書が目をくばっている領域ははばひろい。おもいつくだけでも、情報デザイン、ワークショップデザイン、ファシリテーション、組織づくり、人類学、民俗学、学習、経営などのキーワードが出てくる。いろいろな領域で活動している人が、それぞれ自身の活動とのつながりや気づきを得られるだろう。

民主主義の本

わたしは本書を「民主主義の本」、「シチズンシップについての本」だと受けとめた。意外に感じられるかもしれないが、読めば納得してもらえるはずだ。本書は、これからの社会のあり方を問い、読者に「シチズンシップ」の獲得をうながしている。ここで本文におそらく登場しない「シチズンシップ」という言葉をあえて持ちだしたのは理由がある。2019年に参加したSFPC集中ワークショップでの体験を思いだしたからだ。

このときのSFPCでは「Citizen Code of Conduct」が掲げられていた。「Code of Conduct」は日本ではよく「行動規範」と訳されている。イベント参加者の規範となる振る舞いを定め、差別やハラスメントを許容しないと謳う共同体のルールを示した文書だ。ただSFPCのそれは一風変わっている。タイトルには「Citizen」(市民)がついていて、さらに「Open [中略] Citizenship」という項目が立てられている。SFPC参加者有志がこの行動規範の日本語訳に取り組んだとき、Citizenshipの訳になやまされた。一般的に「市民権」や「公民権」と訳すようだが、しっくりこない。文脈からここでのシチズンシップとは、権利であるとともに「共同体の成員としての責任をもつ態度」をさしていると理解した。なぜこれほどまでにシチズンシップを重視しているのか。なぜなら、一人ひとりの態度や行動が集まることで、彼ら・彼女らが属する共同体や社会の姿がかたちづくられるからだ。SFPCの行動規範では、多様な人を受け入れること、フレンドリーに接すること、不平等を是正し権力の濫用を食い止めることなど、積極的な行動を促している。

本書『コ・デザイン』を読んでいると、SFPCの「シチズンシップ」が頭をよぎった。つまり本書が描いている社会と人びとのあり方を一言であらわすなら、「シチズンシップ」がぴったりあてはまるとおもったのだ。

いまこそ「デザイン」を再考する

みんなで問題に取り組もうとする『コ・デザイン』は、「今」という時代をくっきりと映しだしている。将来予測が難しい現在、専門家まかせにしたままで世の中は万事うまくいくのだろうか、力をもたない個人はあきらめるしかないのか──そんな疑問をかかえた人が増えているのではないか。コロナ禍のいま、わたしたちの身の回りに「災害ユートピア」のような互恵的な共同体は残念ながら生まれていない。それよりも、見解の相違による論争、行政や専門家への批判、陰謀論など、社会が分断していく光景のほうが目立つ。専門家やエリートへの信頼が以前ほど強力ではなくなったことが背景にあるだろう。それに加えて、わたしたちの社会の階層が硬直化し、普段の生活で多様な人びとと出会う機会を失い、コミュニケーションの回路が断たれてしまったことも原因のひとつではないだろうか。こうした困難な時代に立ち向かうための態度を身につけるために、本書は大いに役立ちそうだ。

ページの端々から筆者の情熱がにじみ出ながらも、書きぶりは抑制的でもある。たとえば、新しい考え方「コ・デザイン」を紹介しながらも、流行り言葉を次々に消費しようとする態度をたしなめる。北欧由来の考え方を輸入するだけでなく、東洋の知恵にも目を向けようといざなう。手法や事例の紹介では大仰に効果を主張することなく、控えめに取り上げる。特定の手法を課題解決の万能ツールとして称揚するのは、「コ・デザイン」の理念とはかみ合わないからだろう。どれも深入りはしていないので、気になったものがあれば深く調べるとよさそうだ。また、多くの学問分野からの引用や世界の「ことわざ」がちりばめられているため、本書の文献リストを起点にしてじっくり学べるようにできている。

「コ・デザイン」の源流のひとつとされる「参加型デザイン」は、1970年代北欧の労働争議を発祥とし、社会民主主義の文化をまとっていたという(p.116)。こうした一部の人の特権的な意思決定にたよるのではなく当事者の権利と平等を指向する活動は、いまや多くの領域でみられる。「コ・デザイン」はいっしょにデザインすることで問題発見・解決にアプローチし、ヨーロッパで台頭しつつある「ミュニシパリズム」は自治的な民主主義を実現しようとする政治的活動だ。ITによる地域課題解決活動の「シビックテック」も、「ともにつくる」を標榜し、公共的な課題解決を図ろうとする。どれも光を当てる角度に違いはあれ、目指す方向がよく似ている。こうした理念はまったく新しく生まれたわけではない。本書が取りあげているように、昔から共同体を運営する知恵として存在していた。

最後に、「コ・デザイン」という言葉は定着するだろうか。本書を読んでいると、「コ・デザイン」という呼び方そのものに固有の価値はないことに気づかされる。もちろん専門用語としての定義や重要度は無視できない。しかし一般には別の用語、たとえば「コ・ワーキング」や「コラボレーション」などと呼ぶこともできるのではないか。外来語をつかわず、日本語で「共同設計」や「共同制作」、たんに「協働」と呼んでもよい。それでも私たちが「コ・デザイン」という用語を選びとるなら、言葉の来歴以上の理由があるはずだ。そこには「デザイン」という言葉のもつ特有の魅力があり、「カタカナの語感の軽さ」(p.79)がある。言いかえれば、「デザイン」と呼ぶとなんだか「かっこいい」のだ。これまで「デザイン」のつく数々の言葉に魅了されてきた私たちは、今こそ「デザイン」という言葉の意味を立ちどまって考えなおすときがきているのではないか。「コ・デザイン」という用語が専門領域を超えて定着するかは未知数だが、本書の熱いエッセンスは一つの用語におさまらずに生きつづけるはずだ。

上平崇仁,2020,『コ・デザイン──デザインすることをみんなの手に』NTT出版.

エキソニモの作品は死なない アン・デッド・リンク 東京都写真美術館

potariに寄稿した記事です)

東京都写真美術館で開催されているエキソニモの個展を堪能してきた。展覧会のビジュアルは、文字による構成が巧みな水戸部功のデザインだ。

エキソニモ UN-DEAD-LINK アン・デッド・リンク
インターネットアートへの再接続
東京都写真美術館(目黒区)

エキソニモをご存知だろうか。東京、福岡を経て、現在はニューヨークを拠点としている二人組のアーティストだ。活動する分野は脱領域的だが、一般的にネットアートやメディアアートとよばれる領域にちかい。

メディアアートはメディア技術を使っているために、ともすれば斬新な技術をいちはやく採用する「工学的」な表現や、エンターテインメント産業と結びついたサービスや商品の開発に向かいがちだ。メディアアート単体でマーケットが成り立ちにくい日本では、こうした傾向が顕著だ。そのなかでエキソニモは独自の活動をつづけていて異彩をはなっている。

エキソニモは、ネットやデジタル機器を表現の媒体にしながらも、決して仮構の世界にとどまろうとしない。むしろリアルな物質や身体、生死など、現実空間をつよく意識している。深刻な側面もありつつ、ユーモアもアイロニーもこめた絶妙なバランスのうえに成りたった作品が魅力だ。

こうしたエキソニモ作品の特徴は展覧会の会場構成にもあらわれていた。展示室の床面には5色のLANケーブルが床を這い回っている。5つの色は、作品のキーワードに対応し、それぞれインターネット、プラットフォーム、インターフェース、ランダム、境界をあらわしている。作品の展示場所まで到達したケーブルの色が、作品のタグを示しているという仕掛けだ。会場内を歩き回るには、床にあるケーブルをよけ、またがっていかなければならない。ふだんならスクリーン上の「リンク」をクリックやタップするだけで航行(ナビゲート)できる仮想的なサイバー空間が、ここでは足を使って慎重にたどる現実空間に置き換られている。

展覧会タイトルの「アン・デッド・リンク」には、古いWebページへの参照ができなくなった「デッドリンク」を再接続するという意味が込められている(ちなみに同名の作品もある)。このタイトルの通り、かなり古いものもふくめエキソニモの歴代の作品がよみがえっている。懐かしいブラウン管モニターも、ここでは何事もないように動作していてちょっとしたタイムスリップ感が味わえる。

ひとつだけ作品を紹介したい。《Natural Process》(2014)は、Googleのトップページを絵画にするプロセスを記録した作品だ。インターネットの象徴的イメージであるGoogleのトップページを、そっくり巨大絵画として描き、その制作過程をWebカムを通じてネット中継する。ネットのイメージをアナログ化すると同時に、デジタルの世界にふたたび戻している。完成した絵画は、Google社が購入し所有している。今回の展覧会で作品を借りようとしたが、新型コロナウイルスの影響でオフィスに立ち入ることができず、借りられなかったという。そのため展覧会には絵画そのものはなく、経緯を説明したテキストなどが掲示されている。

ところでGoogleは現在世界シェア1位のウェブブラウザ「Google Chrome」を公開している。しかしこの作品が作られた当時、Chromeは存在していなかった。現在結果的に、この絵画には競合製品である「Internet Explorer」のウィンドウが描かれたことになる。そのため、いまではGoogle社内でも展示されていないようだ。もともとこの作品はプロセスを記録したものであり、その旅に終わりはなく現在も進行している。サーチエンジンやウェブブラウザの浮沈とともに、作品の運命も変わっていくのかもしれない。

メディアアートは刻々と変化する時代状況を反映している。エキソニモのように存命の作家がつくる新しい作品を、同時代に体験できるのは貴重だ。今回の個展では、1990年代の作品から最新作までがならんでいる。世のなかのデジタル機器は変化し陳腐化をくり返しているのに、刹那的にもみえるエキソニモの作品がむしろ死なずに生き残っていることに気づかされた。

大規模な回顧展だが、すべての作品・プロジェクトが網羅されてはいなかった。可能ならば、個人的なメディア経験をふりかえりながら、エキソニモの完全な「アン・デッド・リンク」を一度に体験したくなった。

展覧会は10月11日まで開催中。ネット会場でも作品を体験できる。

『超ビジュアル訳 ニーチェの言葉』をつくりました

このたび、すぎもと組では2冊目の技術同人誌『超ビジュアル訳 ニーチェの言葉:p5.jsでうたう「深夜の鐘の歌」』をつくりました。

特設ウェブサイトはこちら。

https://visualized-nietzsche.tumblr.com/

技術書典9で頒布します。

https://techbookfest.org/product/5727504515989504

この本の特徴

ずばり!
・ニーズのない本です(明日の仕事に役立ちません)
・右綴じ・縦書きの本です
・ニーチェの入門になる本です
・p5.jsをすこし学べる本です
・紙で読んでいただきたい本です(電子版はおまけです)
……ようはヘンな本です。

「超ビジュアル訳」って何?

超ビジュアル訳とは、テキストをビジュアルに翻訳すること。本書では、ニーチェの詩の一行一行を解釈し、想像したイメージをつくりあげました。どのイメージも文字を構成したタイポグラフィ作品です。

今回も編者のわたしの呼びかけに応じた学生といっしょに作りました。表紙、本文のイメージ、テキストは、ほとんど学生が制作しました。わたしはブックデザインに力をいれました。

目次

まえがき

第一部 作品篇
  深夜の鐘の歌
  ひとつ!
  ふたつ!
  みっつ!
  よっつ!
  いつつ!
  むっつ!
  ななつ!
  やっつ!
  ここのつ!
  とお!
  じゅういち!
  じゅうに!

第二部 解説篇
  深夜の鐘の歌
  「深夜の鐘の歌」解説

第三部 技法篇
  p5.jsとは
  作品概要とコード解説

あとがき

Zarathustra’s Rundgesang
ニーチェ略歴
ブックガイド
編著者かく語りき

技術書典すごい!

さて、前回の技術書典8は急遽オンライン開催になりましたが、今回ははじめからオンラインイベントとして開催されます。
イベント運営の目玉として、作り手にも読み手にもやさしい変更がたくさんありました。出展料が無料、販売手数料ほとんどの場合無料、紙の本の送料も無料。前回、主催者にはおおきな損失があったはずなのに、こんなすぐに新機軸が発表されるなんてびっくりです。これでイベントが成り立つのか心配ですが、きっと大丈夫なのでしょう。ありがたくこの場を使わせていただきます。

既刊もどうぞ

すぎもと組の既刊『ばぶでもわかるおぶざばぶる D3.jsとObservableではじめるデータビジュアライゼーション超入門』もひきつづき頒布します。こちらもどうぞよろしくお願いします。特設ウェブサイトはこちら。

https://observable-babies.tumblr.com/

技術書典9のページはこちら。

https://techbookfest.org/product/5174238650564608

技術書典9のp5.js本

技術書典9にでているp5.js関連本は、レオナさんの2冊が注目です!

できるだけ毎日続けるためのデイリーコーディング戦略 [第2版]
https://techbookfest.org/product/6000948635762688

2時間でクリエイティブコーダーになる本 p5.jsではじめるアートプログラミング
https://techbookfest.org/product/5666883730669568

ぜひお求めください!

ニーチェ本は、あまり世の中に似たものがないヘンな本です。読んでくれる人がどれほどいらっしゃるか想像がつきません。興味をもたれた方はぜひお求めください。印刷費をたっぷりかけて紙の本をしっかり作りました。でも赤字覚悟でお安くしています。
お読みになった方から感想をいただけることをたのしみにしています。

技術同人誌『ばぶでもわかるおぶざばぶる』をつくりました

このたび、すぎもと組は技術同人誌『ばぶでもわかるおぶざばぶる』をつくりました。すぎもと組とは、わたしが授業連絡などでつかっているSlackのワークスペース名です。決してあやしい団体ではありません。

すぎもと組編,2020,『ばぶでもわかるおぶざばぶる : D3.jsとObservableではじめるデータビジュアライゼーション』すぎもと組.

技術書典応援祭(オンライン開催、2020年3月日−4月5日)

つくった経緯

この同人誌は、「技術書典8」にはじめて出展する予定でした。新型コロナウイルス感染症のため開催中止となり、代わりに開催されている技術書典応援祭に出展しています。

技術書典は、来場者1万人規模の大きな技術同人誌の即売会イベントです。2018年秋、わたしは出張の合間に技術書典5に参加者として訪れました。開場前からの長蛇の列に、身動きがとれないほどの会場内の混雑ぶりに驚きながら、こんな場に参加するなら、出展者として参加したほうが楽しいだろう。そう思いましたが、地方在住者(当時は佐賀在住)としては、東京でしか開催されない技術書典への出展は現実的ではありませんでした。もちろん地方から参加しているサークルも多数あるとはおもいますが。

それから1年──。2019年の秋、わたしは東京に引っ越していました(!)。メールマガジンで技術書典8サークル参加申込みの締切が迫っていることを知り、出展することを思いついたのです。締切前日(2019年11月30日)に、いっしょに同人誌作ってみないかとデータ可視化の演習授業の受講生に呼びかけました。すると数人の学生が手をあげたので、翌日ぎりぎりに申し込みました。12月15日、当選発表があり、参加費を支払って制作をはじめました。

2月中旬にできあがったので、制作期間は約3か月です。ただし実質はもっと短い短期集中で作りました。学生は第2章の作例を担当し、わたしは前半の第1章を担当しました。第2章の内容や、タイトル、カバーデザイン、イラストなどは、どれも学生の発案です。

目次

はじめに
第I部 入門編
第1章 D3.js をはじめよう
 1.1 D3.jsとは
 1.2 はじめてのD3
 1.3 D3 vs.jQuery vs. JavaScript
第2章 Observable 入門
 2.1 Observableとは
 2.2 ノートブックの編集
第3章 Observable の JavaScript
第4章 ノートブック・ギャラリー
第II部 実践編
第5章 シンプルな表
 5.1 ここで作れる表
 5.2 2次元配列の場合
 5.3 オブジェクトの配列の場合
第6章 ロリポップチャート
 6.1 ここで作れるグラフ
 6.2 データの準備
 6.3 チャートの作成
第7章 折れ線グラフ
 7.1 ここで作れるグラフ
 7.2 データの準備
 7.3 チャートの作成準備
 7.4 チャートの作成
第8章 ドーナツチャート
 8.1 ここで作れるグラフ
 8.2 データの準備
 8.3 チャートの作成
第9章 箱ひげ図
 9.1 ここで作れるグラフ
 9.2 データの準備
 9.3 チャートの作成
第10章 ヒートマップ
 10.1 ここで作れるグラフ
 10.2 データの準備
 10.3 チャートの作成
第11章 地図
 11.1 ここで作れる地図
 11.2 データの準備
 11.3 地図の作成
著者紹介
おわりに

誰のための本か

この本で紹介しているのは、JavaScriptのライブラリD3.jsと、JavaScriptの共有ノートブックWebサービスのObservableです。データビジュアライゼーション超入門と謳ったとおり、はじめてデータからビジュアルをつくってみたい初学者のためのガイドブックです。そのため本書で取り扱っているのは、棒グラフなどの基本的なチャートです。複雑なデータビジュアライゼーションではありませんが、データセット(CSVやJSONなど)があれば、ちょっとしたスケッチを描くように可視化できるので、ぜひ体験していただきたいです。

Image from Gyazo
わたしのObservableノートブックは200個を超えています。

デザイナーの方でも、エンジニアの方でも、データの可視化にすこしでも興味のある方は、ぜひ読んでいただきたいです。また、学生やお子さんも、プログラミングの入門として気軽に読んでいただけます。

感想は、ハッシュタグ #ばぶでもわかるおぶざばぶる #ばぶ本 でお待ちしています。続編の希望があれば、動的なデータの取り扱いや、ボタンなどをつかったインタラクションなどについても書いてみたいです。

同人誌づくりは楽しい!

はじめて技術同人誌をつくってみて、よかったと思ったことがいくつかありました。

第一に、誰かといっしょにつくる楽しさがあります。今回は、学生といっしょに作ったことでなんとかできあがりました。ひとりでつくっていたらモチベーションを維持できず、途中で頓挫したかもしれません。

第二に、テーマとなる技術の勉強になります。執筆した学生は、「文章で伝えるって難しいですね」とつぶやいていました。何となく理解しているつもりのことでも、伝えるために文章に起こすと、意外と分かっていなかったりします。だれかに教えるためには、まず書き手が学ぶ必要があるんですね。わたしも内容に間違いがないように、D3.jsのソースコードを確認することがあり、大いに勉強になりました。

第三に、出版物の理解が深まります。同人誌でも商業書籍でも、1冊の本が生まれるまでには、企画、執筆、編集、デザイン、組版、印刷、製本、営業(宣伝)、流通、販売など、数多くのプロセスがあります。同人誌を作ることは、そのプロセス全部に関われます。世の中に流通している本にも、ひとつひとつ制作のストーリーがあることに思いをはせると、本が生まれることへの感謝の気持ちが生まれました。

今回、同人誌最大の醍醐味である対面販売の機会がなくなったのは残念ですが、同人誌づくりは楽しかったです。技術書典に関心のある人は、ぜひ何か作ってみてはいかがでしょうか。複数人で書くのが気楽でよいとおもいます。丸ごと1冊書ける人でも、デザインや校正など他者の協力をもらいながら作ることを強くおすすめします。その方が完成度も上がりますし、なによりつくる過程を楽しめますから。

制作プロセスについては、別途エントリーをあげる予定です。

Zine『Data Drawing about tableware in everyday life』をつくりました

Zineをつくりました。

Dear Dataに触発され、個人のデータを描くワークショップをここ数年おこなっています。2019年度後期の演習授業でじっくり時間をかけて取り組むことができたので、その成果を1冊のZineにまとめました。

このZineは、2020年3月1日に開催される予定だった「技術書典8 Day2」で、『ばぶでもわかるおぶざばぶる』を購入していただいた方におまけでお配りする予定でした。「技術書典8」が新型コロナウイルス感染症対策で開催中止になったため、このZineが頒布されることはなくなりました(イベントでの頒布の許諾しか得ていなかったので)。そこで今回は関係者のぶんのみ作成することにしました。非売品です。見てみたい方は直接ご連絡ください。

このZineについて
これは13人のデータドローイング集です。すべてのスケッチは作者のパーソナルなデータをもとにつくられています。描く前に、作者は2019年10月の1週間のすべての食事のすべての食器の情報を書きとめました。データビジュアライゼーションの入門として、このデータをもとにスケッチを描いてみたのです。ドローイングはさまざまですが、どれも作者の日常生活を反映しています。こうしたパーソナルなデータドローイングは、ステファニー・ポサヴェクとジョルジア・ルピの『Dear Data』に触発されて行いました。

作品提供:
「ネットワーク演習B・実習B」受講生・TA(首都大学東京システムデザイン学部)
「情報デザインIII」受講生(佐賀大学芸術地域デザイン学部)

担当教員:
杉本達應
lab.sugimototatsuo.com

書誌情報:
Data Drawing about tableware in everyday life
発行日:2020.03.01
発行:すぎもと組
© every author
NOT FOR SALE

『Dear Data』日常生活のデータが綴られたビジュアルな文通

2016年の書きかけの書評。ブログにアップしていたとおもっていたけど、アップしていなかったようなので、ここにあげておく。


Lupi, Giorgia, and Stefanie Posavec. Dear data

Dear Data
Dear Data

posted with amazlet at 16.11.11
Giorgia Lupi Stefanie Posavec
Princeton Architectural Press
売り上げランキング: 30,680

↑米国版

Dear Data
Dear Data

posted with amazlet at 16.11.11

売り上げランキング: 1,992,209

↑英国版

本書は、ニューヨークとロンドンに住む同い年の女性デザイナー、ジョージア・ルピとステファニー・ポザベックのふたりが1年間文通した記録だ。葉書の内容は、文字で書かれたメッセージではなくデータをあらわすグラフィック。52週にわたって綴られた量に圧倒されるだけでなく、毎週あらたな表現にチャレンジしていることに驚かされる。本書のさいごに「そんなに難しくないよ」と、つくる手順が紹介されているが、しっかり取り組むとこれだけで1週間が終わってしまいそうだ。

  1. データ収集家として世界を見よう
  2. 問いからはじめよう
  3. データを集めよう
  4. データをじっくり見よう
  5. まとめて分類分けしよう
  6. メイン・ストーリーを見つけよう
  7. ビジュアルをひらめいて、自分らしいボキャブラリーをつくろう
  8. 最初のアイディアでスケッチして実験しよう
  9. 最終版のスケッチを描こう
  10. 凡例を描こう
  11. 最後に投函しよう

交わされた葉書はすべてWebサイトで見ることができるが、細部までじっくり眺めることができる本をおすすめする。

本書は、ジョージアとステファニーが、日常生活の細かなことを相手に見せながら仲良くなった物語です。といってもカフェやバー、ソーシャルメディアでおしゃべりしたのではありません。その代わり、時代遅れの通信に変わった工夫をほどこしました。1年のあいだ毎週ポストカードを送りあい、その週の出来事を相手に説明するのです。出来事を「書く」のではなく「描く」ことにしました。すべての出来事は描かずに毎週テーマを決めました。

毎週月曜日、その週の自分に関するデータを集めるテーマを決めます。文句を言う頻度、嫉妬にかられる回数、いつだれの身体と接触するか、聴こえてくる音。葉書サイズの紙に、こうしたデータをあらわすスケッチを描き、ステファニーは「ポストボックス」(英国)に、ジョージアは「メールボックス」(米国)に投函しました。

[……]私たちは「ビッグデータ」の時代に生きていると言われています。そこではアルゴリズムと計算が普遍的な問いへの新たな鍵であり、無数のアプリケーションが私たちのデータを発見し、収集し、ビジュアライズすることで、人間を超人にしようとしてくれます。私たちは、もっとゆっくり、よりアナログな方法でデータに近づくことにしました。「Dear Data」は、自分を定量化するプロジェクトではなく、「パーソナル・ドキュメンタリー」だと考えています。これは微妙だけれど決定的な違いです。ただ効率化するためにデータを使うのではなく、より人間的になり、他者と深いレベルでつながるために、データを使うことができると思うのです。

(はじめに)

二人はビッグデータ時代の功利的なデータ活用が盛んに広まっている潮流に抗い、あえてデータをテーマにしたパーソナルなドキュメンタリーに取り組んでいることがわかる。もっとも彼女たち自身はデザイナーとして、ふだん商業的なプロジェクトに携わっているはずだ。そうした合間に、みずからの好奇心とスキルをいかしながら個人的な表現活動を続けている。そのことに表現者としての矜持を感じた。

書誌情報

Lupi, Giorgia, and Stefanie Posavec. 2016. Dear data. New York : Princeton Architectural Press.
Lupi, Giorgia, and Stefanie Posavec. 2016. Dear data. London: Particular Books.

目次

  • 序文 Maria Popova(米国版のみ)
  • はじめに
  • 本文

リンク

ビデオ

Eyeo 2015 – Giorgia Lupi and Stefanie Posavec from Eyeo Festival // INSTINT on Vimeo.

ごあいさつ 佐賀大学から首都大学東京へ

2019年10月1日に首都大学東京システムデザイン学部の教員に着任しました。

3年半在籍した佐賀大学では、佐賀や九州の皆さんに大変お世話になりました。佐賀大学では、新学部スタートメンバーとして、学部の立ち上げという貴重な機会に関わることができました。芸術地域デザイン学部は、総合大学のなかの新設芸術系学部、教員規模は学内最小の組織であり、全員野球で学部運営を乗り切らなければならないタフな職場でした。今年度は、佐賀大学の非常勤講師として、引き続き授業担当や学生指導にあたります。

首都大学東京では、インダストリアルアート学科のネットワークデザインスタジオを担当します。工学の色の強い学部の平原に、アートや文化もあつかう学科の小さな領地があるようで、ここでおもしろいことができればとおもっています。

さて、この夏は、いろいろなことが重なり、余裕のない日々を過ごしていました。8月の物件探しと契約、8月末の佐賀での大雨被害の後処理、9月上旬のSFPC Summer 2019 in Yamaguchi参加、9月下旬の入試、potariの演習、そして引越手配とそれにともなうトラブルの数々……。じつはいまだに引っ越しが落ち着いていません。

そんなドタバタで、このエントリーが10月下旬になってしまいました。所属が変わったことについて、まだごあいさつできていない方もたくさんいらっしゃいます。ひとまずこの場でごあいさつさせていただきます。