2015年6月29日(月)、札幌市立大学芸術の森キャンパスにてトークイベントを開催しました。
平日昼間という時間にもかかわらず、学外からもご参加いただきありがとうございました。
DEVELOPMENTAL/オープントーク「子どもたちがコンピュータと出会うとき」
プレゼンター:朝倉民枝(株式会社グッド・グリーフ)
はじめに杉本達應(札幌市立大学)からイベントの趣旨説明をおこないました。
プレゼンターの朝倉民枝さんからは、子ども向けのソフトウェア開発で大切にされていることを中心にお話いただきました。
途中で、おはなしづくりアプリ「ピッケのつくるえほん for iPad」を使ったミニ・ワークショップがあり、参加者がふだん取り組んでいることをテーマに課題を解決する絵本づくりに挑戦しました。短い時間でしたが、つくった絵本をそれぞれ披露しあいました。
この「ピッケのつくるえほん」は、全国の学校や図書館など、いろいろなところで多様な人たちのおはなしづくりに活用されています。こうした活動では、活動全体のデザイン、ICTと非ICTのバランス、過剰な演出や機能をおさえる、使いやすく分かりやすくすることを心がけているそうです。
子どもたちがオリジナルの絵本づくりを通して習得するのは、単なるタブレットの使い方や創作だけではありません。消費するのではなく創造するツールとしてコンピュータに出会うことで、つくる喜びを感じることができます。ワークショップで周りの人たちとのコミュニケーションを通して、自分の内側と外側にあるゆたかな言葉の世界に触れてコミュニケーションの基盤を育てることにつながります。
朝倉さんは、まず「実現したい情景」を思い浮かべて、どうやってソフトで支援できるかを考えるそうです。未来の子どもたちは、どのようにICTを使いこなしているのでしょうか。その情景は、子どもたちの力を信じている大人たちの構想力にゆだねられていると感じました。スマホやタブレットの普及にあわせて、教育でのICT活用は、このところホットな話題です。今回は、そんな時代の波に流されていると見失いがちになるデジタル以前の大事なことを再確認できる貴重な時間になりました。
アンケートのご意見より
イベントの良かった点
- 朝倉さんがどういう思いでこの活動を行っていて、何を工夫しているのかよく分かったことがよかった。実際に体験できて楽しかったです。
- めざされている思いのお話から、実体験、発表まで経験できたことです。
- 実際にやってみることが出来たのが良かったと思います。
- 実際に自分で絵本を作ることができてよかったです。自分で経験というのが理解しやすかった。
- 「絵本を読む」という、消費者としての楽しみ方だけでなく、つくる側の楽しみを提供する活動を知ることができてとても勉強になりました。絵本の可能性を感じました。
- 実際に絵本を作ることを体験できたので、子どももこうやって作っているだと知ることができました。お話もたいへんわかりやすかったです。
- 子どもという視点からデバイスのあり方、テクノロジーのあり方を知ることができて良かったです。ワークショップをはさんでやるのも良かったです。
- 問題を解決するための絵本制作というのは、はじめてでしたが、漠然と話を考えるよりも考えやすかったです。また、プレゼントとして子どもが一生懸命に考える姿が素敵でした。
- 実践できる点。この活動が大切にしている点をきけたことが良かったです。
改善したほうがよい点、気になった点
- すごく考えて作られているソフトだと感じましたが、操作が難しい部分もあるなと思いました。
- 時間があっという間に過ぎてしまったので、もっとお話を伺いたかったです。
その他コメント、今後のイベントについてのご要望
- こども向けのワークショップをぜひみてみたいです。子どもが実際に絵本をつくるようすを見てみたいです。
- 今後もお誘いいただきたいです。
- 朝倉さんの考えや、行っていること、やろうとしていることにすごく共感出来ました。これからもこのすばらしい取り組みを意欲的に行ってほしいなと思いました。
- 自分の研究でも見直せるところを発見できました! ありがとうございました。
- 一方的な受動関係の中に生きる子供が能動性を発揮するきっかけを作る、というのがとても興味深く聞かせて頂きました。子供のワークショップに参加した事もありますが、放っておいても勝手に作りはじめる創造性を大切にする必要性を改めて感じました。
- プルスアルハという精神障害を持つ子供向けの絵本制作団体に関心があります。子供時代に受けた経験というのは、その後の未来に大きく影響を与えると思うので、iPadの使い方も今後の課題になると思います。
- 普段子どもにオリジナルの遊びを提供するサークルで活動していますが、「お絵かき」をさせることが多かったので、このような試みは興味がわきました。思えば小さい頃、お話をつくるときは絵を描くよりリカちゃん人形など元々あるものを使っていたので、それが手軽にできるという点ではテクノロジーを使うのもアリだなと思いました。
最後に、朝倉民枝さんには、お忙しいなか大学までお越しいただき、ありがとうございました。
「ピッケのおうち」ブログにも掲載していただいています。
ゲスト講義 @札幌市立大学